舞台『ダッドシューズ』が沁みすぎた話
IMPACTors 横原悠毅くんの初単独主演舞台『ダッドシューズ』、観劇してまいりました。
前回舞台の「せかうつ」公演期間中に突然開催が発表されたこの舞台。
IMPACTorsのメンバー全員がポスビジュのポーズをしてお祝いしてくれたあの時から約3か月間、ずーっと楽しみで楽しみで仕方がありませんでした。
でも、そんな私の高すぎる期待も簡単に飛び越えてしまうくらい、本当に良かった。
お値段以上、期待以上。
一生あの物語の世界に居続けたいと思ってしまうような、幸せで満たされた2時間20分でした。
『ダッドシューズ』の多幸感、たぶん夢の国超えてますね(私感)。
その分、終わってしまったあとのロスもすごいんですけど。
というわけで、幸せすぎて書き残さないと一生引きずりそうなので、ここらで一度、『ダッドシューズ』最高だったよ!語りをしたいと思います。
1.『ダッドシューズ』ってどんなお話?
横原くん演じる主人公"若木翔"。若木は劇中で1996年生まれであることが明かされているので、横原くんと同い年の青年です。
ここでは、作品タイトルにもなっている「ダッドシューズ(休日のお父さんが履くようなちょいダサの靴)」との出会い、そして、それをきっかけに翔のもとに現れるようになった青年・マルを軸に、4部に分けてレポしたいと思います。
1-1.若木翔の悩み
若木翔(以下:翔)が所属するダンスチーム「インビジブル」は、"Dエモーションリーグ優勝"という夢を掲げるかたわら、活動資金を稼ぐため、フラッシュモブの活動をしていました。
後輩の井澤那由多は「ブロードウェイの舞台に立ちたい」、同期の新田優香は「ダンススクールを開いて子どもたちにダンスを教えたい」。
みんなそうやって、チームの夢とは別に、それぞれ夢を持ちながら活動をしている。でも、自分にはこれといった夢がない。翔はそれに悩んでいました。
大きな目標や夢はない。ただ、「みんなが笑顔でいてくれればそれでいい」。夢がない自分はこのチームにいる資格はないんじゃないか、翔は、いつしかそんなことを考えるようになります。
と、そんな時。チームメンバーとともに行きつけのダイナー・RIVERで飲んでいると、対立チームに絡まれ、急遽ダンス対決が始まることに。
両チーム、メンバー各々がさまざまなダンスを仕掛けていきますが、翔は自身の見せ場で転んでしまいます。
それにより勝敗が決し、その場はお開きに。
「辞めようとしてる人間のダンスは分かる。インビジブルはお前の力を生かしきれてないんだよ。」
しまいには、対立チームのメンバーから所属チームの悪口まで言われてしまう始末。
"自分がフワフワしていることでみんなが不幸になるんだったら、もうダンスなんて辞めてしまおう"、そう心に決め、翔は公園のゴミ箱にシューズを捨ててしまいます。
とはいえ、まだまだ未練タラタラな翔。日頃練習に使っていた鏡張りのビルの前へ行き、そこでギターをかき鳴らして歌う路上シンガー・姫川舞美と出会います。
舞美の歌声が心に沁みた翔。舞美はこのビルの前でいつも練習していた翔を認識していて、「もう終わったから使っていいよ」と言います。
でも翔は、"ダンスはもう辞めたんだ"なんて言えない。"今はちょっとスランプだから踊れない"という着地点を見つけ、「夢がない」という悩みを舞美に打ち明けました。
すると、「世界平和!立派な夢じゃん!」なんて言葉が。「しいて言うなら、世界中のみんなを幸せにすることかな。」その翔の言葉を、舞美は夢としてとらえ、認めてくれたのでした。
舞美の歌と言葉に励まされた翔は、再びダンスと向き合う覚悟を決め、先ほど捨てたシューズを公園に取りに向かいます。
しかし、それはもうすでにゴミとして収集済み。追い打ちをかけるように雨が降ってきたり、傘があった!と思ったらボロボロの穴あき傘だったり。ここまでずっと翔を見守っていたマルは、不運が重なる翔を見かねて、最終手段としてダイナー・RIVERへと飛ばします。
そこでマスターが翔に手渡したのが「ダッドシューズ」。これが翔のマルとの出会いでもありました。
1-2.マルの魔法と翔の才能
翔が鏡張りのビルの前で練習していると、やたらとアドバイスをしたがる謎の男が。
最初は不審がって遠ざけようとしていたものの、「ダンスが上手くなる魔法をかけてやる」の言葉とともに男が指を鳴らした瞬間、翔の身体は軽やかに動き出しました。
その時のダンスが忘れられず、フワフワした気持ちで家に帰る翔。家の中までついてきて、"ダッドシューズに宿る霊"と自称するマルを気持ち悪がりますが、結局は、マルとともにいること(ダッドシューズを履き続けること)を選びます。
それからというもの、チームで行う新しいフラッシュモブのソロにも選ばれ、絶好調な翔。
「みんなが笑っていてくれればそれでいい」
その想いは、いつからか「世界中の人を自分のパフォーマンスで幸せにしたい」という願いに変わっていきます。
翔のまわりではこの頃から、ダンスや歌を通して、ハッピーがたくさん生まれるようになりました。
夢見る若者を食いものにする悪徳プロデューサーをこらしめつつ、対立チームと所属チームのリーダーたちを仲直りさせたり、サプライズなプロポーズ大作戦を計画して大成功を収めたり。
翔が自分で気づけずにいた魅力、それは「人をハッピーにする力」。ダッドシューズ、そしてマルの魔法の力によって、翔のその力はみるみるうちに開花していくのでした。
1-3.マルの正体
絶好調だったのもつかの間、ある日を境に元気をなくしてしまった翔。
ミスを連発し、練習を休みがちになってしまった翔を、ダイナー・RIVERに集うチームメンバーたちが心配します。
そんな時、舞美がRIVERへ。落ち込んだ様子の舞美に話を聞くと、誕生日が近いと知ってピカピカのダンスシューズをプレゼントしに行ったところを、怒鳴られ、追い返されたようでした。
そんな話を聞いていたRIVERのマスター・飯島史奈は、「あいつ(翔)に、遅くなってもいいから今日ここへ来て、って伝えて。」と言います。
後輩の那由多からその連絡を受けた翔がRIVERへ足を運ぶと、マスターから衝撃の一言が。
「マルが出てこないんだね?」
翔が元気をなくしていた原因は、マスターの言う通り、マルが翔の前から姿を消してしまったことでした。
ボロボロのダッドシューズを直して、何回履き直してもマルは翔の前に現れない。
実はマルのことがずっと見えていて、かつ昔同じチームに所属していた旧友。そんな存在であったマスターは、マルがどこに行ったのかを知っていました。
「マルはね、霊力を使い果たしちゃったんだよ。」
そして、手渡されるマルからの手紙。
そこには、マルが亡くなったその日から、省エネモードで現世に留まり続けた25年間の出来事が描かれていました。
マルの本名は若木マモル。
彼は、同じ若木の姓を持つ翔の父親でした。
そして、彼の命日は翔の誕生日。
彼の主演舞台の初日、舞台を終えたその足で緊急手術となった妻の元へ向かっていたところ、渋滞にはまったタクシーを降りて高速道路を走り出して事故に会い、命を落としたのでした。
「翔がマルと同じ歳になるまで、マルが亡くなったこと、翔には黙っておくつもり。自分のせいでマルが死んじゃったんだなんて思って欲しくない。」
マルの亡骸を前に、史奈(マスター)にそう告げる翔の母。翔が父親について何も知らないのは、父親が自分を置いて出ていってしまったと思っていたのは、母のこの想いによるもの。その事実を、翔はマルからの手紙で初めて知ることになりました。
「…だってさ。」
『ええ?!史奈、俺のことが見えるのか?!』
「見えるよ!そういう体質なの!」
翔の母がマルの亡骸をあとにしたところで、マルに語りかける史奈。
「あんたさあ、いい加減成仏しなよ、うじうじうじうじ」
『だってさ、居心地がいいんだよ~あっ塩を撒くな!揉み込むなよ!おいしくなっちゃうだろ?!』
亡くなって誰にも自分の姿が見えなくなってしまったと思っていたマルの味方になってくれた史奈。
そんな史奈の力も借りながら、マルは25年もの間、息子の、翔の成長を見守り続けてきたのでした。
でも、翔にとってそのお話は少し違和感があって。
「25年間も隠れて見守り続けてきたのに、どうして最近になって姿を表したの?」
翔の中に生まれたその疑問への答えは、”省エネモードをやめたから”。
限りある霊力を節約しながら使い、少しでも長く現世に留まろうとしていたマル。
翔がシューズを捨て、夢を諦めようとしたことを見過ごすことができず、今まで以上の霊力を使い、翔の前に姿を表すことを決めたのでした。
でも、いきなり「僕が君の父親です」なんて出ていっても不審がられるだけ。
そこで、史奈と相談して決めたのが、RIVERに置かれたマルの遺品である"ダッドシューズに宿る霊"という設定でした。
マルの本当の正体、そして本当の想いを知った翔。
夢の舞台「Dエモーションリーグ」に出る自分を見てもらいたくて、閻魔様に天国行き・地獄行きの審判を待ってもらえるよう、審判の間へ直談判しに行くことを決意します。
だけど、審判の間は死者しか行けない場所。
マスターの閻魔様に会ったことがあるような口ぶりを目ざとく指摘し、口を割らせた翔は、アルコール度数230度の酒を飲み、仮死状態となって審判の間へ向かいます。
1-4.父子の対話と翔の想い
審判の間では、今まさにマルへの審判が下ろうとしていました。
「ちょっと待ったあああ!!!」
そこへ割って入る翔。マルは、史奈が翔をここへやったのだとすぐに勘づきます。
「やい!マル!勝手に現れて勝手にいなくなりやがって!俺は、母さんに散々言われてきた。あんたの父さんはそれはそれは自分勝手だったって!ほんっとそれな!」
『手紙読んだのか?悪かったな。でも、俺はもういいんだ。お前は俺が居なくても立派に生きていける』
「俺は!満足してねえんだよ!マルのおかげでここまでこれた。ようやく目指すべきところに手が届きそうなんだ。それ見てから成仏しやがれ!!」
『お前の人生はよく見たよ!初めて立った日、初めて喋った日、全部見た!』
「じゃあ、小5のとき、掃除の時間にスコップ投げて遊んでて、それが友達の頭に当たって大怪我させちゃって、ああ俺刑務所入るんだ…ってなったのも!
初デートのディズニーでお金下ろせなくて女の子に全額払わせたのも!
高校の時、大会に出ようとしたら前日に怪我して、テーピングガチガチで出て優勝したのも!
初めてのコンビニバイトで発注ミスしてシュークリーム鬼のように来て!クリスマスに店の前でシュークリーム売ったのも!全部見てたのかよ!」
『見てた、全部見てた。でも、全然見飽きねえ。まだまだ見れる。』
「だったら!…最後まで見るのが筋ってもんだろ!!今まで散々俺のプライベート見て楽しんできたんだったら!最後まで見ていきやがれ!いいから、とっと戻ってこい!マル!!」
怒りながら、泣きながら、想いの丈をぶちまける翔。これがマルと翔が交わした、父子としての初めての会話でした。その言葉を聞いた閻魔様は1度だけ、彼らにチャンスを与えようとします。
そして現れたのは、翔が受け取らなかったはずの、舞美からのプレゼントのシューズ。
「清き乙女が買った靴だ。これで俺の心を動かしてみろ」
その言葉に突き動かされるように、翔はダッドシューズを履き替えます。
「いいか、翔。いつも通りでいいんだ。この靴はただのダサい靴だ!」
そのマルの、父の言葉がスイッチング。
"どうか どうか どうか神様 ひとつだけ願い聞いて 少し 少し 少しだけでいいからあなたを感じていたい"
そんな言葉をぶつけながら、全てを賭けて踊る翔。やがてそれはマルに伝播し、父子のパフォーマンスとなっていきます。
それが、翔が閻魔様に提示した答え。でも、マルの答えは違いました。
「閻魔様ごめん!」
閻魔様を殴り、「これ以上一緒にいたら離れられなくなる。俺にも子離れさせてくれ!」と言うマル。
一緒にいたいはずなのに、あえて離れることを選択します。
その父の考えを汲み、審判を待ってもらうことを諦めた翔。
「地獄まで轟くくらいの活躍、見せてやるからな!」とマルに誓い、翔は現世へと帰っていくのでした。
そして、物語はクライマックスへと突入。
時は流れ、審判の間での出来事から1年後、舞台は「Dエモーションリーグ」へと移行します。所属チームのインビジブルがリーグへ出場。そして、そのパフォーマンスを閻魔様が見に来ます。
「マルは天国でうまくやってますか?」
「ああ、元気に踊っておるよ。」
閻魔様をエスコートするのは、マルの旧友である史奈。
「しかし、珍しいですね。閻魔様が地上まで降りてきてダンスが見たいだなんて。」
「マルと息子のダンスを見たあの時の感動が忘れられなくてね。どうだい、息子はマルがいなくても、元気でやってるかな?」
「ええ、もちろん。彼の中には今でも、マルが生きていますもの。」
もう翔の足元にダッドシューズはない。近くにマルの姿もない。それでも翔は、夢に見た「Dエモーションリーグ」の舞台で立派に踊り抜く。
そんな姿を最後に、物語は幕を下ろしたのでした。
2.ここがすごいよ『ダッドシューズ』
お話の説明を終えたところで、今度は少しだけ細部にフォーカス。
タイトルそのまま、ここがすごいよ!なポイントについて語りたいと思います。
2-1.アドリブ無双と小ネタ無双
物語だけ追うとなんとなくしんみりしたお話にも見えてしまいますが、この舞台、実はとにかく笑いが多いです。
しかも日に日に進化していき、なんならアドリブ箇所もどんどん増えていき(笑)、本当に面白かった。
登場人物みんなキャラが濃くて最高すぎました。
ここでは、日替わりパートを中心にいくつかのシーンをピックアップしていきます。
①乾杯の音頭
インビジブル(翔の所属チーム)のメンバーがRIVERで飲むところ。
チームリーダーの新田誠二が「○○に乾杯!」と言うところが日替わりでした。
その日お誕生日の有名人に乾杯を捧げることが多かったんですけど、
「翔が踊るとき、アヒル口になるのにカンパーイ!」「東京千穐楽にカンパーイ!」
みたいなイレギュラーパターンも時々あったり。
あと、「翔!お願い!」っていうのもありましたね(横原くんが「それスノゴールデンに乾杯!」って言って会場大拍手でした)。
バーンズくんが乾杯でボケて、それに横原くんがツッコむというような構図が面白かったです。
あ、そうだ。大阪初日のカテコで裏話してたそうですね。前相談全くなしでやってる、みたいな。
実際見ても、そういう生の反応だなって思いました。
ここ、けっこう序盤のシーンではあるんですけど、仲が良いのが伝わってきてとっても良かったです。
あと、大千穐楽の時「もうネタないんだよな~」って言いながら、バーンズくんが楽屋でやってたらしいネタを披露してたの、めっちゃ面白かった。突然MIKUさん(優香)が1、2、3、4!ってカウント取り出すし、横原くんは「楽屋で誰もウケてなかったネタやるメンタルがすごいわ」とか言っちゃうし。序盤でこんな面白くて大丈夫?!って思ってました。
②マゼンダ
敵対チームのリーダーの妹、マゼンダ。
笑いの勝率100%。投げるボケ全部ホームランって感じで、全てのアドリブにおいて笑いをかっさらっていく恐ろしいキャラクターでした。
だって勢いがすごいんだもん!!すっごい背高くて足きれいだし!!(どさくさ)
とにかく、このシーンとんでもなく面白かったので、ここではそれをレポしてみることにします。
ここからは、何も考えずに読んでくださいね。
パッションオンリーのマゼンダ様レポいきますよ!!伝われ!!
★マゼンダ占い
翔と優香がRIVERで飲んでいると、突如、敵対チームのマゼンダと徳井が来店。マゼンダが翔に詰め寄り、「私は今年出会う人と結ばれる運命にある。しかも、そこにはロミオとジュリエットの相が出てる。」と言い出します。マゼンダの解釈は、”ロミオとジュリエット=敵対するチーム"。インビジブルに運命の人がいる、と踏んで、翔の生年月日を聞き出そうとしますが、優香がとっさに先程まで一緒に飲んでいた那由多の忘れ物である免許証を取り出し、那由多の生年月日を教えます(本当のこと言っちゃうと面倒だから)。
そして、那由多の生年月日で占われ、結果はなんと相性150%…というようなシーン。
マゼンダ「(おみくじみたいな棒をジャラジャラしながら)ああロミオ!あなたはどうしてロミオなのぉぉぉぉ!!じゃじゃん!出ました相性150%(東京は1500%のパターンもあった)!これはもう結婚するしかないねえ!!」
翔「やだよ!」
マゼンダ「ガーーン!くそう、女にここまで言わせやがって!じゃああんた、女いんのかい?あたい以外に!!」
翔「いないよ!」
マゼンダ「気になる女はいんのかい?あたい以外に!」
翔「別に…」
マゼンダ「あたい!あたし!あ・た・し♡」
徳井「どれが好きなの?!」
翔「選択肢ひとつじゃねえか!」
優香「じゃあ私...」
翔「別に気になってる子はいない!」
マゼンダ&優香「ガーーーーーン!!」
マゼンダ「ふざけやがって!あたいを本気で怒らせたようだね?!勝負しな!!」
と言いつつ一瞬で自爆していくマゼンダ。いつもここで㊙情報を提供してくれるので、1回観るごとにマゼンダ様に詳しくなれるという謎システムです。
マゼンダ「井澤那由多!あたいがここまで敗北を喫するとは…!さすがは運命の人だよ井澤那由多!」
那由多「なんですか?」(忘れた財布取りに戻ってきた)
マゼンダ「井澤那由多!」
那由多「なんですか?」
マゼンダ「うん、お前じゃない。井澤那由多ァ!」
那由多「なんですか?!」
マゼンダ「だからおめえじゃねえんだわ!」
那由多「井澤那由多は僕ですが?!」
マゼンダ「あたいが用があるのは、2001年8月31日生まれの井澤那由多なんだわ」
那由多「だから、それ僕です!」
優香「あのさ、私嘘教えたんだわ...(免許証を見せる)」
徳井「じゃあ、相性150%は…?!」
マゼンダ「マッゼンダスキャーーン!チュイーンチチチチチュイーンチチチュイーン!ガチャガチャッティーーーーン!!(手のひらかざしながら那由多を上から下まで見定める)…悪くない。」
マゼンダ「井澤那由多ァ〜!覚えとけよ〜!!…そして、お前誰だよ?」
翔「若木翔っていいます」
マゼンダ「お前もリベンジすっからなーーー!くっそおおお!(ちゃんと那由多に財布返してくれる。しかもちゃんと手に握らせてくれる。やさしい。)」
というのが基本の流れ。これほんとにおもしろいから、全人類1回は通ってほしいなと思ってた。文字だけじゃ全然面白さが伝わらなくて悔しい。くそう。
ちなみに、大阪は小道具が変わり、以下のようなアドリブが加わってました。
【2/5昼 占いの棒→水晶に変更】
水晶に手をかざし、念じるように占うマゼンダ。あまりに前のめりすぎて、途中で水晶が頭にくっついちゃってました。
そして、那由多に財布を返すシーンでは、水晶を頭から引っぺがし、那由多にプレゼント。
那由多「これ(セリフは財布しか指してない)を取りに来たんです」
翔「それ(水晶)を?」
財布と水晶を持って帰っていく那由多。
翔「…あいつ持って帰ったぜ(ニヤニヤ)」
一瞬どうしようかなってそわそわしてた那由多、かわいかったです。
【2/5夜 占いの棒&うちわアレンジ】
この回は占いの棒の出方がアレンジ。四方八方から飛び出した棒を「どれにしようかな」って選ぶ方式になってて面白かったです。
あと、マゼンダと徳井が一瞬レコードとか出して騒ぐシーンがあるんですが、その時にマゼンダが投げCHUしてのうちわ出してました。
そして、「覚えてろよ〜!」って帰っていく時、なぜかそれを翔に託して帰っていくという不思議な展開に(翔、それからずっと胸の高さで掲げ続けてました)。
那由多「先輩!」
翔が振り返り、那由多にうちわを見せる形になって、
那由多「…お帰りなさい!(投げチュー)」
セリフはちゃんと守りつつ、ファンサくれた那由多に会場大歓喜&大拍手でした。
★マゼンダ&那由多
マゼンダ占いでも相当ないじられようだった那由多。
実は、のちのちマゼンダと結ばれます。
相性150%はマジだったらしい。マゼンダ占い効きすぎ。
エンケラドス(対立チーム)のリーダー・TAKUが積年の恨みを晴らすため、悪徳プロデューサーと刺し違えるかもしれない。でも、翔ならそれを止められるかも!ということで、相談に来るシーン。
ここでは、那由多がTAKUの事情に詳しすぎることについて、翔が訝しがります。
マゼンダ「あんたから言いなよ」
那由多「…マゼンダから、言いなよォ(ぶりっ子声)」
マゼンダ「じゃあ、一緒に言お♡」
那由多「僕たち!」
マゼンダ「わたしたち!」
マゼンダ&那由多「「付き合ってます!!」」
いつも息ぴったりで最高。そこから日替わりで2人の回答がピッタリ合うセルフQ&Aをしてたんですが、大千穐楽だけ回答が合わず喧嘩になっていて、腹よじれました。
マゼンダ「目玉焼きにかけるものは?せーの!」
那由多「ソース!」/マゼンダ「塩!おい💢💢」
横原くん、これを遮って「2人の話はいいからお兄さんの話を(聞かせてください)!」って言わないといけないんだけど、大千穐楽は、マゼンダが真面目に喋り出しても一瞬笑っちゃってました。ほんとにおもろかった。
ちなみに、那由多にはこんなパートも。このシーンの導入にあたる部分です。
那由多「先輩はおめでたハッピー野郎ですね!」
翔「悪かったな」
那由多「…最高ですぅ♡(ぶりっ子声)」
那由多のぶりっ子声、毎回裏切らない面白さで大好き。分かってても絶対笑っちゃう。
日替わりパートじゃないのに毎回ちゃんとおもろいのすごいよね?!さすがマゼンダ様の彼ピッピ!!
いや~マゼンダ様にはたくさん笑わせてもらいました。
レポしきれてない小ネタもまだまだあるんですけど、全部やると文字数すごいことになっちゃうので割愛。
マゼンダ様!本当にたくさんの笑いをありがとうございました!
③恋する若木翔
ヒロイン・姫川舞美との掛け合い。
とにかく若木翔がソーキュートです。
舞美はずっと路上で歌を歌っていましたが、デビューの話が舞い込み、お金を稼ぐためにRIVERの厨房で働くことになります。実は、その手助けをしたのが翔でした。
「仕事探してるならあてがあるよ」と言って、舞美をRIVERへ連れてきた翔。ファミレスの厨房で働いた経験があるという舞美に、マスターが「ちょっと腕見せてよ」と言います。
★アドリブその1 作って欲しいものリクエスト
お試しで作る料理を翔がリクエスト。
「簡単なものがいいよね」と言って何か1品を挙げるんですが、このパート、なぜか酒とかつまみがすごく多かった。
東京で枝豆、塩キャベツ、焼酎の水割りあたりが出たと思ったら、大阪は知多のソーダ割と白州のソーダ割でした。
さては、横原くん酒強いな?(笑)
マスターも「たくさん飲んでね」って言ってたことだし、横原くんには思う存分好きなお酒浴びてほしい...
★アドリブその2 コック服の舞美にときめく翔
優香が「うまーーーい!!(大声)」って最高のアシストをしてくれたおかげで正式採用となり、支給されたコック服に着替える舞美。
舞美のコック服姿にときめいた翔が何かしらの反応をするというところです。
翔「沁みた…(若木翔、舞美に対する"すき…"は全部"沁みた…"になっちゃいます。かわいいよねほんとに)」
舞美「何が?」
翔「ううん、なんでもない」
みたいな流れが基本。でも、後半どんどん進化していって、最終的には、翔、息止まってました。
翔「…!!!(胸をおさえる)」
舞美「翔?!どうしたの?!」
翔「(めっちゃぜえはあしてる)沁みすぎちゃって…ごめん」
そのあと、
翔「ほら、お客さん来たよ!いらっしゃいませ〜って!」
舞美「いらっしゃいませ…!」
翔「声ちっちゃ…」
ってやってたのもかわいかった。
舞美と話す時の翔、なんかちょっとよそ行きの声してて、ほかのところよりちょっと声高いんですよね。
電話する時声高くなっちゃうあれと似たものを感じてときめきました。
そのあとずっとカウンターでニコニコしてるのもかわいかったな。
★アドリブその3 舞美に見えないはずのマルが大暴走
時系列的にはマゼンダ占いの直後。
シーンちょっと戻っちゃうんですけど、ここも後半の公演は尺がえらいこっちゃになってました。
翔が鏡張りのビルの前でフラッシュモブのソロパートを練習をしていると、一緒にいたマルがギターケースを下敷きにして寝こけている舞美を発見。
「こんなとこで寝てちゃダメだよ!」と翔が舞美を起こし、マルが舞美にちょっかいを出し始める、というシーン。
幽霊のマルは舞美には見えないので、それをいいことに舞美のセリフをなぞったり、舞美の前に出てみたり、好き勝手するマル。
「やめろ!彼女に触るな!もう!お前はここだ!」ってピンスポの前に立たせようとしたら、舞美が着いてきたり。舞美に話しかけたらマルが返事したり。
とにかくボケの大渋滞がすごい。
大千穐楽では、ついにマルと舞美がツーカーでボケるようになり。
舞美が「なんか寒い!」って言い出すと、マルに操られて体が勝手に動いてしまったりしていました。
この時、マルに悪態をついた翔の言葉を、舞美が自分に言われたと勘違いしてしまうっていう流れが必ずあるんですけど、横原くん百面相みたいになってていつも笑っちゃうんですよね。
大千穐楽の時、「その顔やめろ!」「...普通の顔だよ?」「うん、そうだね、素敵な顔だよ…」ってヘッタクソな褒め方してたのも、かわいくてニコニコしちゃったな。
マルも舞美もあんまりにも楽しそうにやってるので、横原くん、最終的には「大千穐楽だからって何してもいいわけじゃなからね?」って言っちゃってました。
毎度毎度、ここ、ほんとに微笑ましかったなあ...
④プロデューサー・片倉
マツモトクラブさん演じる悪徳プロデューサー。
舞美にデビューさせてあげるという話を持ち込みお金を騙し取った、ほぼ詐欺師な悪い奴です。
「世の中には3種類の人間がいる。ベットする人間とベットしない人間、そして、布団で寝る人間だ。」
この全然わけわかんないこの理論が決めゼリフ(第3の選択肢は、Bet→Bed→お布団っていう連想ゲーム的な感じでお布団なのかな?)。
そして、とにかくアドリブ無双のキャラクターです。
★アドリブその1 名刺
舞美に名刺を差し出す前に「あっこれ違った、○○だった」っていうのを何回かやるんですけど、いつもいろんなポイントカードやらなんやらを出してきてしんどい。
マツキヨのポイントカードみたいなソフトなやつもあれば、ハーモニカ吹きながら登場してトトロのぬいぐるみ出したりするトリッキーなやつもあって超面白かったです。
あと、謎の『ダッドシュージ』(ダッドシューズを文字った映画)の半券とかもあったな。
出演者、よこばらゆうじ(=横原悠毅)、竹内まめ(竹内夢)、ボボ(BOB)さんの映画。微妙な文字り方ジワジワくる。
このシーンの時、舞美の歌に沁み入っているていで後ろで胸に手当てて佇んでる横原くんが全然笑わなくてすごいなと思いました。
レポ見てたら、一瞬だけ笑ってスッ...って表情戻すこともあったみたいだけど。その横原くん、見たかったなあ...(笑)
★アドリブその2 舞美に会場を紹介
片倉が「いい会場が見つかったよ」と言って舞美に紹介をするシーン。
と同時に、新田誠二が翔と一緒にそのプロデューサーが自分の知っている人物かどうかを確かめるというシーンでもあります。
この時、実際にいるアーティストのニアミスみたいな名前がいくつか出るんですけど、「インパクチーズ=全員パクチー食べれない7人組」「インチキターズ=40代くらいのおじさん7人組」みたいな、IMPACTorsにかけた名前も出てきてました。
2/5昼、「インパクチーズとか訳の分からないことを言うあの感じ、絶対にそうだ」ってバーンズくん(新田誠二)までアドリブ入れてきてて、ほんとに吹き出しそうになった。もちろん、みんな笑っちゃってました。
このほか、片倉が1度だけRIVERを訪れるシーンがあるんですけど、大千穐楽、喋ったことをオウム返しするワンちゃんのぬいぐるみ持参していて面白すぎました。
ガッサガサの音質でちょっとしたセリフもオウム返ししてくるのに、いちばん拾ってほしい言葉だけ拾わないのさすがにしんどい。この笑い分かりすぎてるワンちゃんなに?!(笑)
ここ、そんなにアドリブの多いところではないはずなんですけど、最終公演は腹よじれるくらいずっと笑ってました。
⑤地獄の門番・閻魔様
こちらもマツモトクラブさん演じるキャラクター。④と⑤でマツクラさんシリーズ2本立てです。
マルの生前のエピソードをピックアップしながら、天国行きか、地獄行きかをジャッジするシーン。
だいたい地獄行きエピソード2つ、天国行きエピソード1つだったんですけど、大千穐楽はオーディエンス方式取ってましたね(早口言葉を言えたら天国!ってことだったんだけど、マルが全然言えなくて、このままじゃ地獄になっちゃう…っていう流れから)。
地獄だと思う人!拍手!天国だと思う人!拍手!で、お客さんみんな天国に拍手してました。あれ、地獄に拍手してたらどうなってたんだろ...?(笑)
細すぎて伝わらない系のいろんなエピソード話してたけど、
「卒業アルバムとかの足が速い人ランキングずーっと3位ね、あなた。だめだよ、3位が高速走っちゃ。はい、地獄。」
「あなた犬めっちゃ好きね、天国」
あたりが好きだったな。調べたら1/29夜だったらしいです。
あと、マルが閻魔様殴っちゃったところで、「親父のこと、大目に見てください」っていう翔にぶつぶつ文句言うのも面白かった。
それを受けて、「だから!それを大目に見てくださいって言ってるんです!」ってどんどん声でかくなってく横原くんもおもろすぎたよね。
閻魔様のシーンは、ギャグとシリアスがすごいスピードで切り替わるのに、毎回最後はしっかり締まるのすごいなあと思っていました。
2-2.楽曲
ここがすごいよ『ダッドシューズ』、2つ目は楽曲の良さ。
横原くんもカテコで言ってましたけど、ある有名な方が全ての曲を作っていらっしゃいます。ヒント!Hey DJ!!(もうほぼ答え言ってる)
中でも、次の2曲は本当に良い曲だし、これからもずっも忘れられないと思います。劇中の演出も相まって。
★キミシダイ
公式PVで使われている曲。
舞台初見でも初めて聴く曲じゃなかったので、1回目の観劇からこの曲すっごい知ってる〜!ってなりました。これは、プロポーズフラッシュモブ用に舞美が作った曲ということで歌われていましたが、実質横原くんのソロコンでしたね。
横原くん、メロディーパートずっと歌ってるし、なんならサビ以外はほぼソロ。
舞台を下から上まで移動しながら、ハッピーに、チアフルに歌い上げていました。
「貴重なその瞬間を取り逃さないで 毎日が記念日 今日も何かクリアする」
「ココロ次第で転げ落ちる 爆弾は時に壁壊す キミいて ボクいて 無敵になる」
「情熱が燃え尽きるまで 涙枯れ果て尽きるまで 好きこそものの上手なれ」
「どんな道だって どんな明日だって キミシダイ」
横原くんの声、ほんとによく伸びるしよく通るんですよね。そんな声でこんな歌詞歌われちゃったら、一生無敵になれるような気しかしないんですよ、本当に。
この曲だけで、一生かかっても消化し切れるか分からないくらいのすきを浴びました。この曲やっぱり大好きだ!
★DADSHOES
表題曲みたいな感じ。歌うのは序盤と終盤で1回ずつで、序盤はポップなオープニングっぽい曲調、終盤はエンディングっぽいしっとりした曲調にアレンジされていました。そのほか、いろんなシーンでピアノアレンジされたものがBGMとして使われたりもしてたかなと思います、たしか。
大千穐楽のしっとりバージョン(終盤の方)では、これが横原くんが率いたカンパニーなんだなってすごくしんみりしてしまいましたね。
開演前は「ラスト公演だから、横原くんをしっかり目に焼き付けよう」と思っていたのに、いざその瞬間が来たとき、私が見たいと思ったものは、横原くんが率いたカンパニーの皆さんで。
こんなに楽しい舞台を、この人たちで作って届けてくださったんだな、しかも、その真ん中には横原くんがいたんだな。そんなふうに思ったら、おこがましいけれど、すごく誇らしい気持ちになって、泣いてしまいました。
この曲は、思い出すだけでとにかく多くのシーンと記憶が結び付く。
これからもずっと、大好きな曲なんだろうなあって思います。
2-3.横原くんについて
はい、ここでようやく横原くんフィーチャーゾーンです(誰担だよ)。
舞台の幕が開く前、雑誌で「若木翔として舞台の上で生きたい」と語っていた横原くん。
終わってみての率直な感想としては、本当に「若木翔、生きてたな...」という感じです。
この舞台の話をする時、自然に横原くんのことを若木って呼んでしまうんですよ、私。
それはちゃんと横原くんが若木翔に息吹を吹き込んで、生かしていたからなんだと思うんです。
そう思う一番の理由は、たぶん、感情を爆発させる演技をたくさん見たから。
言及したいシーンはたくさんあるんですけど、特に、マルがいなくなってからの演技が本当に大好きでした。
まず、舞美が家に来た時、「ごめん、今そういう気分になれないんだ」ってやんわりと帰そうとするところ。
舞美が靴をプレゼントしようとして「翔の靴、ボロッボロだったじゃん」って言ってしまう。それに対して、「なにそれ」の優しいトーンの一言から始まり、どんどん怒りのボルテージが上がっていくのが好きでした。
「ボロボロで何が悪いの?ダサくて何が悪いの?!これは、俺にとって大事なものなんだよ!!」ってカリカリするところから、「俺のこと何にも知らないだろ?!」って声を荒げるところまでの感情のクレッシェンドが本当に綺麗だった。 あと、MAX怒ったところは見てるだけでヒュッてなる。一瞬ほんとに怯みそうになりました。
次に、マルのお手紙を読んでいる(演出的には語りを聴いたり、マルの手紙に出てくる過去回想を見たりしている)ところ。
マル「翔。お前がこの手紙を読んでいるということは、この世に俺はもういない。お前のことだ、きっと俺がいなくなって自信をなくしちまってるんだろ?」
翔「うるせえ」
マル「俺の名前は若木マモル。みんなからはマルって呼ばれてた。」
翔「若木?!」
マル「俺は、お前の父親だ!」
翔「はあ?!!」
ここね、毎回泣いてしまうんです。なんなら、レポ書きながらもう泣いてる。
しょっぱなのマルの「翔」の語りかけ方がもうずるいんですよ。うまく見せようとか、泣かせてやろうとかじゃなくて、ただただ純粋な愛で形作られた言葉に聞こえて。
ここから自身が亡くなるまでのお話がマルの回想によって翔に伝えられるわけですが、母の想いを知って涙する翔に、毎度つられて泣いていました。
このあとにくるマルと史奈のシーンで、愛おしそうに2人を見つめる翔も好きだったな。
史奈がマルを認識できることで、亡くなってもなお、マルはこの世に生き続けることができた。
その事実を、自分のことのように嬉しそうに見つめているあの視線が、忘れられないです。
あと、ここから翔が審判の間に行く覚悟を固めていくんですけど、この時の翔、言い回しやトーンが少し子どもっぽいんですよね。
それは審判の間でマルと会話するシーンでも感じられる。
でも、これがあったからこそ、翔は魅力的だったんだろうなと思います。
翔はマルの息子であって、マルとの出会いや別れを通して確実に強くなって、成長していて。
ちょっとした声色や表現の違いで、それを表して届けてくれる横原くんの演技が私は本当に好きだなと、若木翔を通して心底感じました。
そして、もう1つ言及したいのが、「Thank You God」。
審判の間で、マルを連れ戻すために閻魔様へ挑むシーンでの楽曲です。
ここ、曲入りの時の眼光がめちゃめちゃ鋭いんですよ。かましたるぞっていう気概というか、もうなんか、食われそうな勢いのおっかねえ目してるんです。あの横原くんが。
「どうかどうかどうか神様1つだけ願い聞いて 少し少し少しだけでいいからあなたを感じていたい」のところ、「感じていたい」はテクニック的なもんじゃなくて、力を振り絞るようながなり。うまいのに粗削りみたいな、初めての歌い方を見ましたね。
ダンスもすごかった。アイドルとして踊る横原くんとは違う若木翔のダンスで、テクニックに頼るのではない、感情を表現するダンスで。
横原くんってここまでダンスうまかったっけ?!って、思わず魅入ってしまいました。
歌もダンスも演技も、横原くんだけど横原くんじゃない。
どのシーンを通しても、これが若木翔という人間なんだって心底納得できました。
若木翔、本当に魅力的な人間だった。また会いたいな。
2-4.トリプルカテコ
毎公演トリプルまで、大千穐楽にいたっては4回目のカテコまでありました(4回目ってクアドラプルカテコっていうらしいですね)。
せかうつはスペシャルカテコの日の設定があったことを考えると、お得すぎてバグ。
しかもトリプルカテコは1人で出てきて喋るので、ほぼ横原悠毅トークショー。IMPACTorsのことだったり、自分のことだったり。いろんなことを話してくれて、オタクはとっても楽しかったです。
たぶん、こんな状況だからこそ舞台の話だけじゃない、とにかくいろんなことを喋ってくれようとしてたんだろうな。
とはいえ、この舞台は横原くんが1人で出ているわけじゃない。
「プロフェッショナルな方々ばっかりなんでね、ぜひこれからもいろいろ見に行ってくださいね」ってほぼ毎公演言っていたらしい横原くんなので、外に発信する意識を持って、すごく言葉を選んでくれていたんだろうなと思います。
東京のいつだったかな、「IMPACTors好きな人〜?」って聞いてから話し始めたことがあったんですよ。
それはたぶん、会場にいるのはPINKyだけじゃないという意識がちゃんとあったからこそ。内輪の話をしてもいいのかどうか、そこで見極めてたのかなとも思います。
PINKyに対しては、いつもの友達に接するみたいなあの感じ。
でも、自分のことよく知らない人にも楽しんでもらえたら、みたいなエンターテイメント性も感じて。
横原くんが芸人さんを見て学んできたものや、トーク番組に出て学んだことの集大成みたいな感じだったのかなと思いました。
「風邪ひかないでね」とか「また会えるぞ!」とか、「7人みんな人生楽しんでますからね」とか、「どんな苦しみからもIMPACTorsがPINKyをマモルから」とか。
全13公演。毎公演、本当に優しくて、力強い言葉をたくさんくれたなあ、横原くんは。
今でもパンフレットを読むたび、「みなさんパンフレット買ってくださいね、無理なくね」って言ってくれた横原くんのことを思い出してじんわりと温かい気持ちになったりします。
いつも温かい、幸せな気持ちのまま帰宅の途につくことができたのは、舞台の内容はもちろん、横原くんのこういう配慮があってこそ。
全面には出したがらないけど、横原くんは強くて優しくて素敵な人だと、再認識させられました。
3.ヘキまとめ
さて、最後におまけ。オタク丸出しヘキ暴露大会開催しま〜す!ドンドンパフパフ〜!
もう箇条書きでバーッといきますよ。ここに来るまでに、最高だったけど流れ的に割愛だ…!悲しい…!って何度もなったので、そういうネタを全部拾ってすっきりしようと思います。
だいたい時系列のはず。自己満コーナーすぎるので、ここまで以上に中身がスカスカです!
よろしくお願いします!
★DADSHOES ~UP Ver~
・曲始め、舞美がギターかき鳴らして歌うのがほんとに沁みる…「正直者がバカを見る そんな世界に失望して 叫んでる」の歌い方すごくすき
・「叫んでる」のところ、手を口元にやって(おーい、みたいなポーズ)ぐいーんって沈む振りめっちゃ良い
・僕が君をマモルからの「ら」、いっつも丁寧に置く歌い方しててすき
・「どんな時も」で肩竦めるみたいな振りして、両手上にしながらぴょんぴょんぴょんって回るのかわいいすき〜〜〜
・「君のそばにいたいんだ」のとこの振りもいいよね 肩に手ぴっぴってやって足くねくねするみたいな振り大好きです
・「止まない悲しいSTORY」で体揺らしながら顔の前で手グーにして、パラパラっと指を開いていくみたいな振り、バブくてエモい
・「でも逆らった」のマスター、手ピッて上げて場の支配者みたいな雰囲気出てるのかっこいい
・「ダーッドシューズ〜」のとこ、チャチャッって感じの足さばき見れて最高
・DAD SHOESの直後、赤黒い照明で踊るやつ、ポーンって上にボール投げるみたいな振りがすごく良かった。目線も連動してるのめっちゃかっこいい
・エンケラドスと勝負だ!ってなるとこ、一瞬ヘアバンド直す?耳かけする?みたいな動きしてるのバチくそ刺さる
・転んじゃって「ごめんなさい」って言って落ち込むとこ、ほんとに胸がギュッとなる 保護です
・舞美の歌聴いてるところの翔の沁み顔いいな…プロデューサーがアドリブかましまくってる時ちょっと横向いてる顔が最高…造形美…そして、1曲分まるまる釘付けの演技できるのすごい…スキル高…
・缶コーヒー両手持ちかわいい たぶんみんなすき
・シューズ回収されちゃって「空?!えっもう回収したの?普通朝でしょ!」がねえ、すきトーンすぎるんすよねえ…
・そうだ、新しいのを買おう!だいぶくたびれてたしな〜→お金ない→首ふるふるするの表情豊かすぎて絵文字みたい
・「体がヤケ酒しろって命じてんだな」 いきなりの刺さるワードチョイスやめてもろていい??
・「ちょっと、なんなんですか?」、最初は柔らかい声色で穏便に済ませようとしてて、その次の「だからなんなんですか?!」で初めてキレる。キレたらマルのこと「あんた」呼ばわりするのもすごい刺さった
・「…ほんとどっか行って?」バチくそ好きなトーンです ありがとう世界
★Wonder World
・マルに促されてステップ踏んだ時、「お!踊れる!」みたいな顔でマルのこと見るのかわいかったな
・通りすがりの女の人いきなり持ち上げたり、傘奪い取ったりしてめっちゃ怒られてるのかわいい ちょっと不審者だけどね(やめたれ)
・「明るくなった世界〜っ(吐息切り) 」ああああああ
・ちゃん!って音で決めポーズするとこやっぱアイドルだねえ〜
・カップルが仲直りして喜んでるのかわいい ばいばーいって見送るのもすき
・「輝ける場所〜」のフェイクと「かのうせいっは〜〜 」 大好きな歌い方〜!
・最後に踊ったあのダンスは沁みたなあ…かわいい
・マルと出会ってから「はあ?!」っていうとこ多いけど、全部トーンがすき…「気持ち悪っ!!」もすき
・気絶する時、眼球上転してトサッて静かに倒れるのいいよね…ちゃんと倒れてるのにちゃんと受け身してる…しかも超自然に…He is 器用…
・めっちゃ調子いいじゃん!で声そろう優香と那由多大好き
・ボトルをダーンッ!って置くところでテーブルの上から財布落ちちゃったことがあって、なんかの流れでスッって拾ってた那由多とてもデキる男だったな
・ニシンのパイ嫌いっていう優香に対して「やな感じ~」って言うのバブみすごい
・徳井の「はいぃぃぃ!」大好きかわいい
・マルに「お前が好きなのはあの舞美って子だろ?」って言われて、「はあ?!そんなんじゃないから!」って返す翔、声バカでかくてかわいいんだよな
・すげえすげえすげえ! なんかクセになるよね
・パパカツゥ…って、東京のどっかすっごい片言の時あった気がする
・優香に「お前には関係ないだろ!」って言うところもれなくぶっ刺さった キレられたい
・途中の公演なかったけど、警備員さんの時に地団駄踏んで怒るやつ、大千穐楽で復活してよかった 警備員若木、総じて赤ちゃんだよね
・画角に映り込む警備員さんのところ、アヒル口チャンスすぎて最高だった
・JKに気づかれて知らないフリするとこ、柱とか警備し出すのかわいい。超白々しいし、また写りに行くとこ、あっ!って走ってく時ちょっとどんくさくてかわいいよね
・くねくねって下に沈んでからくねくねって上がってくる振りかわいいんだよ〜
・新田&若木の「伊勢海老のソテーなんて…あったーーーー!!」 声バカでかくてすき
★傷付けてKissMe
・2次元と2.5次元通ってるオタクに刺さる曲すぎた...設定もドストライクすぎて良
・タップするときのTAKUいい尻してたな シンプルにTAKUのタップ大好き
・シンプルイズザベストさ人生!な片倉、ほんと胡散臭くて好き ジャラジャラチャリンチャリンしすぎ 成金じゃん(超褒めてる)
・「教えてよ堕天使」って歌詞で踊る横原くんぶっ刺さりすぎる 勘弁してほしい
・「抱きしめてKiss Me」「傷付けてKiss Me」はどっちの振りもすき…選べない…そして、優香のダンスめっちゃかっけえ
・ちゃっちゃっちゃーん!で終わる時の振り、超アイドルですよね...ブロマイドにしてくれ...
・マゼンダと那由多の「付き合ってます」のあと「えーー!!」って言う若木、声バカでかすぎて全てをかき消してたのかわいかった
・「今なら胸を張って言えるよ。世界中の人を俺のパフォーマンスでハッピーにしたーい!って」 むり 泣いた
・「それでね、まずは自分の周りの人から幸せにしていこうって思って。」の翔に対して「だから、不幸な私は見たくないって?」って言う舞美、トーンからタイミングから大好きなんだよなあ…
・DADSHOESのピアノアレンジに乗せて、マゼンダはTAKUを、那由多は新田誠治を説得してる演出すごくすき…胸がぎゅっとなった…
いつもツンツンしてる那由多が頭下げて、いつも明るいマゼンダが泣きそうな顔したり落ち込んだりしてるんだもんね…
・カットーー!って言ってカチンコ持ってる翔かわいいです 最高
・新田がおもちゃのナイフかちゃんかちゃん言わせてフェイクフェイク〜って言うところ、あまりにもクセになりすぎる
・ジャーンって感じで「TAKUさんへのフラッシュモブです」って言うトーン、ちょっとカッコつけててバチくそ良
・それじゃあ私の気が済まないのーー!!の舞美沁みた かわいい
★キミシダイ
・「アドベンチャーな毎日」でちょっと手くるくるするのすき〜
・クリィアするぅ〜 歌い方も声もすきすぎた
・「ココロ次第で~」で下あおるのほんとにアイドル エアーでペンラ振りそうになった
・キミいて(ゲッツの手で舞美を指さす) ボクいて(親指で自分を指さす) の振り大好き
・「どんな明日だってキミシダイ」のダイでちょっとがなるの良い
・マゼンダ泣いちゃったとこでみんなでフォー!って言ってるとこの翔、心底嬉しそうで泣いた 優しい人だ
・上手なれ〜 ね!ベイべ~ のびやか横原ボイスゴリゴリすぎてみみち
・曲終わりに舞美とハイタッチ?グータッチ?するとこほんとかわいい やんわりエスコートタッチ〜〜!!優しい男~~!!
・私あんたのことすきだよ!…はい、俺もです
→今のって告白だよね?!やった〜〜!!これを見届けていなくなっちゃうの切ないよマル…泣いちゃうだろ…
・それは霊的なあれだな、のTAKU、回を追うごとにどんどん変な声になってて笑った
・「マル!靴修理したぞ!出てこいよマル!」は表情も声もすごく優しいのに、「俺、お前がいないとうまく踊れないんだ!出てきてくれよマル!」は何もかもがすごく切実で、毎回泣いてしまった えーんすき…
・「俺は帰らない!」からピアノの音楽始まるのいいよね ここの曲、すごくハノン!って感じがするから、息子モードの曲って呼びたい
・マルに散々想いをぶちまけたあと、「というわけなんで、閻魔様」って言うの、トーンが急にバブくてエッ…ってなった(ヘキの扉オープン)
・「闘争心を持って抵抗する!これは、俺と親父の問題だから!」は、「先輩、もっと闘争心持ってくださいよ」の那由多の言葉の裏返しなのが良いな
・ あ〜もう!そういうところも俺の親父らしいか!の「あ〜もう!」の声、ちょっとがなり気味で良いんですよね
・「約束したんだ、あの星の向こうの方にいる人に。ぜってえ世界中の人を幸せにするから!って。」クソガキっぽいトーンですき
そして、いよいよ最後、Dエモーションリーグ予選について。
ここは箇条書きじゃなく少し長めに書きたいと思います。
ラストシーン、 オールホワイトの衣装で踊る若木翔、あまりにも強すぎましたね。
劇中でいちばん横原くんがくっきりはっきりして見える気がしました。
着実に夢に近づいている、これからも翔がどこかで生き続けるような気さえしてしまうパフォーマンス。だからこそ、最後の最後は本当にさみしかったです。
だって、まだそこにいるのに、幸せな2時間20分が終わってしまう。
終わらないでって、言っても仕方のないことを祈ってしまうくらい、最高のラストシーンでした。
ここまで約20000字。帰り道に打ち込んだスマホのメモやパンフレットを読みながら、いろんなシーンに想いを馳せて書いてきました。
でも、何をどれだけ書いたとしても、結局私が一番伝えたいのは、「幸せで元気になれる素敵な舞台でした!」ということ。
あんなにも素敵な舞台を座長として率いて、オタクをこんなにも幸せな気持ちで帰してくれて。そんな横原くんは、劇中の若木翔と同じく、相当な「おめでたハッピー野郎」だなと思います。
ハードな歌やダンスを「大変だけど、それが皆さんの見ごたえになってると思うんでね。」なんて言っちゃうんだもんね。
「人を幸せにすることばっか考えてるおめでたハッピー野郎」
那由多がそう称した若木翔の要素は、きっと、横原くんの中にも存在しているんだろうなと思います。
最後に。横原くん、初単独主演舞台、本当にお疲れさまでした。
『ダッドシューズ』からもらったこのハッピーを抱えながら、私も誰かの幸せのために動きつつ、自分の夢も叶えていける人でありたいと思います。
たくさんの幸せと元気をありがとう!楽しかった!
以上!感想ブログでした!
世界でいちばん美しい君たちへ、感想文をしたためる
ミュージカル『世界でいちばん美しい~鎌倉物語~』、全19公演完走おめでとうございました!
大千穐楽から随分経ってしまいましたが、東京公演&大阪公演まるっとまとめて感想文をしたためたいと思います。
1点あらかじめお伝えしておきたいのですが、このライトなテンションに反して、このエントリ、実はけっこう長いです。
文字数にしてなんと2万字弱。自分でも正気か?って思います。それでもアップしちゃってますけどね。
と、まあそんな感じなので。
お読みいただいたあとは、ぜひとも目に優しい行動をしていただければと思います。目薬さすとか、ブルーベリー食べるとか。
それでは感想文エントリ、これよりスタートです。
【キャラクター・役者さんについて】
◎トオル&椿くん
トオルは、とにかく等身大に成長していく印象。
元気な小学生が、成長や挫折とともに落ち着いていって、等身大の大人になっていくまでの変遷をなめらかにたどるキャラクターだなと思いました。
だけど、やっぱり物語の主軸、かつ原作では大部分において語りを務めるキャラクターなだけあって、運動量とセリフ量がすごい。劇中劇の主演も務めていているから、出ないシーン、喋りも歌いもしないシーンはほぼなし。色々な面で、椿くんのエネルギーとスキルのすごさを痛感しました。
◎せったクン&横原くん
せったクンは何もかもがトオルと正反対でしたね。
等身大に成長するというよりも、ずっとせったクンはせったクン。キャスティングで横原くんに白羽の矢が立つの、よく分かる…!って改めて思いました。
そして、横原くんの声が本当に良い。
せったクンの声とか喋り方って、下手したら棒読み感が出たり頑張ってる感が出たりしちゃいそうですけど、横原くんの声には全くそれがなかったです。
「ひゃ〜!」とかもちゃんと感情の昂りのMAXのところまで音が当たってるような感じだったし、のんびりした声の中にもちゃんと感情の波が見えたような気がしました。
歌と同じく、セリフにもしっくりくる音程みたいなものが存在すると思うんですけど、横原くんはたぶん、それを掴むのがすごくうまい。歌とセリフの温度差も全くなくて、まさにcv.横原悠毅の雪駄文彦という感じでした。ひいき目なしに、彼がせったクンで本当に良かった。心からそう思います。
◎津々見+様々なキャラクターたち&原田さん
原田さんはシンプルに声量と歌唱力がすごかった。それでいて、おばあちゃんから津々見勘太郎まで、様々なキャラクターを見事に演じ分けられていて脱帽。ミュージカルってこうだよなあ〜!ってワクワクするような素敵なお声と演技でした。ふつふつと盛り上がるような感じとか、歌に合わせてクスッと笑えるような小ネタをぶっ込んでくる感じとか、私がミュージカルを好きな理由を原田さんには再確認させてもらったような気がします。機会があればぜひ、また別の舞台でもお見かけしたいです。
◎北島先生&蒼乃さん
澄んだお声とふわっと場が和らぐような安心する空気感が素敵でした。せったクンのレッスンを唯一引き受けてくれて、せったクンの才能を伸ばそうとしてくれた優しい先生のイメージそのままでしたね。劇中劇ではノリノリで女神役をやられていたのも、可愛らしくて大好きです。
◎コウミ(+沢口さん)&柳さん
柳さんはビジュアルを拝見した時、コウミそのままだなと思ったんですが、実際に足を運んでもなお、そのイメージは崩れませんでした。本当にコウミが生きてた。津々見が評する「もっと無口で引っ込み思案で可憐な女だった!」っていう評価にもちゃんと当てはまっていて、せったクンに出会うところからだけじゃない、もっと前の部分からのコウミもしっかりと背景に見えたのが本当に嬉しかったです。
「小さいけど素敵な声なんだよ」
せったクンのその言葉を本当にしてしまうような、芯がしっかりとありながらも澄んでいるお声が素敵でした。
あと、沢口さんも演じていらっしゃいましたね。トオルに向けたお手紙の歌、可愛かったなあ。
◎加瀬さん(マスター)&ブラザートムさん
マスターは原作を読んだ時点ではもう少し怖そうなイメージだったんですけど、ブラザートムさんの演じるマスターは、見た目に反して人柄はまんまるなとっても可愛いおじさんでした。アドリブかなっていうところもたくさんあって、マスターが絡むシーンは基本的にオアシスというか、感情のお休みどころになっているような気がしましたね。
公演日後半になるにつれてどんどん自由になっていっていくのも、微笑ましかったです。実際に見たのもレポで見かけたのも、本当に面白いのが多かった。特にセーシューのところは、ジワジワくるようなのが多かったような気がしますね。
でも、雰囲気を壊さない程度の自由、実はすごく難しい塩梅だと思うので、その難しい塩梅を攻めながらオアシスで居続けてくれたマスターには感謝しかないです。ありがとうマスター〜!
【ストーリー、劇中のことについて】
※10/29昼、11/5昼、11/12昼夜の公演をまとめた内容です。
※★は曲名。こうめいさんの曲目リストツイートを参照させていただきました。
場面はざっくりとセリフなどの始まりから曲終わりまでで区切っているつもりですが、ちょっと違うところもあるかもしれないです。そのあたりはなんとなくの雰囲気で読んでいただければ!
★追憶の16 beat(津々見)
オルゴールの『世界でいちばん美しい』&開演まもなくのアナウンスを合図に、杖をついた黒服のおじいさんが舞台へ登場。ピアノに少しよりかかった状態で『追憶の16 beat』を歌う。
『追憶の16 beat』のイントロで暗転してスタートなんですけど、私はいつもそこで、あえて目をつぶっていました。ここのピアノとチェロの音、本当に良いんですよ。スーッと物語に引き込んでくれるような感じで。冒頭部分ということもあって、とにかくここは絶対に取りこぼしたくないと毎公演思っていました。おかけで、大千穐楽から1ヶ月近く経った今でも、まだこの曲はそれなりに口ずさめます。
この場面は、1回目の観劇で双眼鏡越しにたまたま津々見と目が合ってしまったのが少しトラウマです。スタンバイ中の津々見、びっくりするくらい眼光鋭いんですよ。あれに射抜かれると思わず喉がヒュッてなります。ほんとにこわかった(原田さんすごいね)。
あと、「幼なじみの2人がいた 双子のような2人だった」のところで小学生のせったクンとトオルが出てくるんですけど、津々見が上手に視線を向けるとトオル、下手に視線を向けるとせったクンが動き出すっていう演出がゲームのキャラクター選択みたいな感じで可愛かったです。
★欲しいのはエレキング
「僕はせったクンのこの顔を見るとなんだか可哀想になってしまう。そうだ、その顔だあ!」のところ、せったクンが口をすぼめてゆっくり首を傾けていくのと、トオルがお小遣いもらってることに対して「ひゃ〜!いいなあ〜!」ってはしゃぐのが可愛くて、毎公演頭を抱えていました。トオルがせったクンに甘くなっちゃうワケをちゃんと証明してくれる可愛さ、いい薬です。
あと、『欲しいのはエレキング』イントロの2人がかしわばに向かうところ、容姿や喋り方はもちろん違うんだけど、同じような動きをしていても全然違うふうに見えるのがすごいなと思いましたね。トオルはせったクンを誘ったり、「しょうがないなあ」って感じで面倒見たりする立場なので、重心低めで速く多く動く。一方、トオルについて行く立場のせったクンは、姿勢よくゆっくりもったり動く。
けんけんぱのところなんかはけっこう如実に違いが出てたように思います。
トオルは動きが大きくてしっかり足音がするのに、せったクンは動きが小さくてほとんど音がしない。それでも2人が噛み合ってるのがすごいなと思ったし、その対比がとても可愛らしいなと思いました。
かしわばのところは、望遠鏡持ちながら「覗くとこがちょっとのーびる でもこんなの買ったら今月のお小遣い これでおっしまい」のトオルがちょっと肩すくめてるのが好きでしたね。
「おっしまい」のところは東京の途中から歌ではなくセリフっぽい感じに改変されましたけど、私は改変後の方が好きでした。ガキンチョ感があって。
さあ、残りのエレキングはバババッと一言感想いきますね。
「僕が欲しいのは…」⟵せったクンの声質が大変にバブくてGood!
「ウルトラセブンのブロマイド1枚1枚…」⟵おばあちゃん声量すごいし音程正確率すごいんよ…
「キングギドラでもいいかも」⟵声のトーンだけでミリしらだし、思いつきで言ってるんだろうなって分かるのすごくない?
からの、両手上げてゴジラの真似して歩くところ。ここは、せったクンの方が手高くあげてる(重心が高い)からトオルよりも縦長フォルムになってたのが可愛かった。
そのあとの「ウルトラセブンじゃない〜!(スーパーマンみたいな振りするトオル)」で、バァンと着地するところは、お稽古の映像にもあったので、本物だ!ってなりました。そして、回りながらスーパーマンのポーズするトオルが全く体勢崩れないのがすごいなと。体幹がとにかく強い。さすがさすがの椿くんでした。
そういえば、公演終わったらすぐお稽古の映像消えちゃいましたね…しばらくは残るもんだと思ってたので、今ものすごくメソメソしてます…
★おつり事件
「おばあさん、2枚ください!」
「はいよ、1枚5円で10円ね」⟵空で電卓はじくおばあちゃん好き
「これでお願いします」
「100円だから、はい、90円」
「わ〜!なんだかお金が増えたみたいだ!」⟵トオルくん、いい金銭感覚だよ
対するせったクンは1000円。
「え、せったクン1000円もらったの?!」⟵ここに限らずだけど、小学生のトオルの「え」はほとんど「へえっ(裏声)?!」って感じで可愛かった
「おつりあるかしらねえ」⟵おばあちゃんちょっと嫌な感じ…
で、このあとのおつりもらったせったクン、財布を脇に挟んで、両手いっぱいに小銭抱えながらぽてぽて歩くのがほんとに可愛かった…保護です…
そして、トオルがおつりが足りないことに気づいて『おつり事件』がスタート。
この曲はとにかく「頭がクラクラ」の両手で頭抱えながらグイーンってするトオルのフリが好きすぎました。こんな表現力エグい小2おってええんか…
イントロが、少年たちの「闇を突き抜けて」みたいな不安感を煽るような音運びなのも良かった。懐疑的って言葉を音に表したらこうなるのか!って納得できる感じ。せったクンの「僕わかん、ない」とか、トオルの「おつりは990円、だよ」でタンゴっぽくなるのも、懐疑的音運びの一環って感じがして好きでしたね。
あと、シンプルに、せったくんの「どうしよう」と「えー!」って声あげるところが好きでした。ちゃんとせったクンなんだけど、ゴリゴリに横原くんのバカデカ声です!っていうトーンで、みみち(耳が幸せ)がすぎる。毎公演たまらなかったですね。
「欲しいのはエレキング♪」で1枚ずつカードをめくっていくところ、エレキングのカードが出なかったせったクンの「な、に、これ」の体育座り、可愛すぎましたよね…これみんな好きだったでしょ…
「エレキング出たー!」のトオルと、ユニゾンの「欲しいのは〜エレキング♪」でカード掲げるせったクンは、なんか、めちゃめちゃ可愛いプラス、普段のよこつばじゃ絶対しない表情だなと思ってました。特にせったクンはそう。あれは紛れもなく、横原くんの普段は開けてくれない引き出しから出た演技だなと思います。
★いいこと過ぎて大変なこと
この曲は2人の姿が本当に微笑ましかったですね。せったクンが初めてピアノに触れたシーンでもあるので、ピュアなキラキラが伝わってくる曲になっていたなと思いました。
3回見るとその曲が弾けてしまうというせったクンの才能が開花したシーンは、トオルが指で回数を示しながら3回曲を弾いて、それを後ろでせったクンがじぃーっと見ている構図。その時のせったクン、両手の指を合わせながらちょっとだけ手を動かしていたのが、天才の入口な感じがしてすごく好きでした。
そういえば、東京後半(私が観たのは11/5昼だったけど、もう少し前から変わってたのかな?)から、トオルの「シラノ・ド・ベルジュラック」の弾き方が「ほんとはもっとテンポよく弾かないといけない」にかかるようにたどたどしいテンポでの演奏に改変されていましたよね。それもトオルとせったクンの対比をするためのスパイスになっている感じがして最高でした。
『いいことすぎて大変なこと』の歌は、トオルの表情がコロコロ変わっていくのがとにかく可愛かった。曲の前後も含めたら、このシーンだけでトオルの喜怒哀楽全部見れたんじゃないんですかね。
せったクンが弾けてしまったことに対して憤ったり、キラッキラの笑顔で楽譜の読み方を教えたり、せったクンに「わかんない」と言われてシュンとしたり。かと思えば、せったクンの「けどもっと弾こう」でまた笑顔になったり。それに伴って、どんどん曲自体もジャジーで、ウキウキした感じに盛りあがっていく。この曲を連弾することで、せったクンの気持ちも盛り上がっているというのが分かるのも、良いなあと思いました。
ついでに、番外編として憎いな〜と思った演出についても触れさせてください。
「シラノ・ド・ベルジュラック」をアレンジを加えながら弾き続けるせったクンと、せったクンに声掛けしながらもピアノ以外の生活を送るトオルの対比がすごく良かったです。
せったクンが普通の「シラノ・ド・ベルジュラック」を弾いている時は「僕達もう4年生なんだから」、変奏曲を弾くようになってからは「僕達もう5年生なんだから」というように、トオルのセリフとせったクンのピアノのスキルが連動してるのが良すぎて憎い。
周りの人たちはごく普通の日常を過ごしていて、せったクンはその間にメキメキと才能を開花させている。それを同じ時間軸として、視覚的にも聴覚的にも捉えることができるのが素敵だなと思いました。
あと、これは解釈とかそういう話じゃないのかもしれないんですけど、せったクンが沢口さんがトオルに話しかけたところで「シラノ・ド・ベルジュラック」の演奏を止めてしまうところが気になりました。
せったクン、沢口さんのこと好きだったのかなあ…
沢口さんとトオルがお互いのことを好きだと分かったから、初恋の曲である「シラノ・ド・ベルジュラック」の演奏を止めたのかもしれない。せったクンの初恋が破れる、みたいな意味合いを含んでるようにも見えるんですよね、ここ。
のちのち出てくる「僕達はそういう運命なんですよ」のトオルの言葉が、もしかしたらこのせったクンの行動にもかかっているのかなと思ったりしました。
★もう一度会えるから
トオルの初恋と、思いを伝えられないままでの別れのシーン。
沢口さんと線路を渡るところの「新世界より」とそれに合わせた照明での線路の演出、素敵でしたね。
『もう一度会えるから』は、もしかしたら劇中でいちばん好きだった曲かもしれないです。
毎回、劇中いちばん最初の涙腺崩壊ポイントになっていました。
文字にしちゃうと全然伝わらないんですけど、沢口さんのお手紙の直後、流れるような3音+1音の丁寧な伸ばしというリズムが音を変えながら繰り返されるところが、波の音みたいで本当に綺麗だったんですよね。
その綺麗なイントロのメロディーに触発されるかのように、トオルもせったクンも独白をし始める。
「感情(喜怒哀楽)がピークになった時に歌がくる」
「秘密を持ってる者は歌う」
横原くんがブログで脚本家さんに教わったと話していたこれらのことが、このシーンにはギュッと詰まっているなと思いました。
あと、トオルはせったクンから離れたところで音だけを聴いて歌うんですけど、せったクンはトオルの元まで行って、トオルの目を真っ直ぐに見つめながら歌うんですよね。その対比も良かったです。
せったクンの歌に心動かされて、最後は2人見つめあって歌うところも、『いいことすぎて大変なこと』のシーンみたいに気持ちの昂りとともに連弾しちゃうところも好きでした。
でも、2人で弾いているところって、曲中ではいちばん静かな部分なんですよね。静かな部分を2人で弾いたあと、サビ部分のアレンジみたいなメロディーでラストに向けてボルテージを上げていくのは、せったクン1人だけ。
もしも本当にせったクンが沢口さんのことを好きだったのなら、この音運びは、せったクンが彼女への気持ちを消化するのに必要なものだったのかなと思います。真偽の程は分からないですが。
この曲は、とにかくクリスマスのイルミネーションみたいなキラキラした印象が私の中に強く刻まれています。そういう美しさの曲が小学生時代のシーンで入ってくるってすごく夢がありますよね。また聴きたいなあ...
そういう曲に『もう一度会えるから』というタイトルが付いているのも、すごく良かったですね。
★チェロのチューニング
『チェロのチューニング』はトオルのチェロ初披露シーン。ここは、音程について指南するせったクンの言葉を歌にするという演出が大好きでした。とにかく天才感が出てたし、「次は レだ」の「レ」だけ上がる横原くんの歌い方が良すぎましたね。セリフ的な発音だからか、少し巻きの入った「レ」がたまらなかったです。
あと、曲自体のキーが歌詞に連動して低いところから高いところに移行するのも良かった。
余談ですが、帰ってきてせかうつ楽曲を口ずさんでみたら、いちばん音程取れなかったのがこの曲でした。私がそんなに音楽に詳しくないっていうのもあるんですけど、「まだ、まだ、まだ〜」とかどの音を通ってるのか本当に分からなかったです。やっぱりせったクンってすごいや。
トオルの「ドレミファソラスィド ピアノと合わせると」の歌い方と、せったクンの「2オクターブならこんなのも弾ける」の歌い方がうまーく調和して、ちゃんとバトンタッチになってるのも好きでした。たぶんこの2人のパート、間で転調してると思うんですけど、移行に全く違和感がないのが本当にすごい。もちろん、かみむらさんの力も大きいんですが、2人の歌と絆の力でもあるなあと思いました。
★2人の夢
2回目以降の観劇は、この曲本当にしんどかったですね。のちのちの展開を知っているので。
でも、トオルはそんなこと知らないから、ただただ無邪気に2人の夢を語る。
その姿に、何度も泣きそうになりました。曲終わりにニカって笑う顔が本当にピュアで、それがもうしんどい。これはもうね、一生受け止められないと思いますね…
★留学/チェロソナタ第五番
トオルのドイツ留学のシーン。このシーンのこと、私は初見からずっと「やさぐれチェロ」と呼んでいます。というのは、留学して音階しか弾かせてもらえないトオルがものすごくやさぐれているから。
舌打ちするし、メッツナー教授の歌(『留学/チェロソナタ第五番』)の最中に口パクで「うっさいな」って言ったりもしちゃう。
「こんなもん辞めてやる!」ってチェロのケースの蓋を閉じるまで、ふつふつと黒い感情を膨れあがらせる椿くんの演技は迫力がすごくて、思わず魅入ってしまいました。
トオルに関しては、ピアノももちろんすごいと思うんですけど、チェロを弾く姿の方が断然好きですね。『チェロのチューニング』で初めてせったクンの家でチェロを弾いた純粋な姿と、『留学/チェロソナタ第五番』で音階しか弾かせてもらえないことにやさぐれていら立っている青年の姿。その対比がお見事でした。その対比とともに、前者の音階は長調、後者の音階は短調になってるのも、すごく良かったです。
★音楽はやめない
夢破れて留学から帰ってきたトオルがせったクンと再会するシーン。ここのせったクンって、そのままの受け取り方をすれば、マイペースで話を聞かない人って感じだと思うんです。「大学受験に落ちた、音楽はやめたんだ」とトオルが言っても、「どこの芸大?」とか「私立だあ!」とか言ったりする。でも、『音楽はやめない』の曲があることで、あの態度はせったクンの願望であり、トオルへのメッセージだったということ示唆されていたんだなということ思いました。
トオルとせったクンがお酒を酌み交わすところも好きだったなあ。
「友達がいなかったら、とっくに死んでる」
ひどく大人びた表情でそんなことを言うせったクンに胸がギュッとなったけど、せったクンは別に悲哀の気持ちでそう言ったんじゃない。それはただただ本心だったんですよね。
その"友達"にはもちろん目の前のトオルも含まれていて、「もっと話をしようよ お酒を飲みながらさ」なんて歌が続く。2人の再会が明るいもので、昔と全然変わらぬもので良かったなあとほっこりしました。
それと、本当に細かい話なんですけど、せったクンの「第一小学校だよ」の言い方がとにかく好きでした。たしか、東京→大阪で言い方が「第一小学校だよお!」から「第一小学校だよ!」になってたんだったかな。どっちもちゃんとはやる気持ちが抑えられない感が出てるし、これに関してはほんとに甲乙が付けられないです、未だに。
そして、2人で小学校に行くところ。
ピアノを塀に見立ててよじ登るのが青春って感じで良かったです。トオルはぴょんって一発でよじ登れるのに、せったクンは足をかけてじりじりよじ登る。その差も全然昔と変わってなくて良かった。
あと、第一小学校の校歌の話で、「僕も山田耕筰みたいな曲作ってみたいよ」っていうセリフがあるのも、次への伏線になっていて素敵だなと思います。
せったクン、すでにこの時点でオペラを作ることを視野に入れていたんでしょうか。もちろん、ここで思いついたという線もありそうですけど。
10年から13年ベルリン高等音楽学校に留学し、作曲を学ぶ。帰国後15年(大正4)に岩崎主宰の東京フィルハーモニー会内に管弦楽部を組織・指揮(翌年解散)、20年には日本楽劇協会をおこして、日本における交響楽やオペラの確立を目ざした運動を進める。出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) 山田耕筰とは - コトバンク
調べてみてわかったことなんですが、山田耕筰はオペラの確立をめざして動いた作曲家なんだそうです。『堕(お)ちたる天女』、『黒船』など、いくつか有名な作品も残しているとか。
こういう背景を知ると、「山田耕筰は偉大だな〜!」というせったクンのセリフがちゃんと分かるようになって楽しいですね。
★追憶の16 beat(堂本さん)~ブエノスアイレスの青春
堂本さんの歌う『追憶の16 Beat』は、トオルが私立大学の芸術学部映画学科に合格したという状況説明の役割だったので割愛。
このあたりは、トオルの大学合格を祝うため、せったクンが「うれしい合格」という曲を作るシーンですね。
『ブエノスアイレスの青春』は劇中唯一のマスターの曲。
この曲は、コウミの手を取って踊るところと、マスターの歌終わりのアコーディオン?の音がオシャレでかっこいいなと思っていました。
あと、次のシーンにつながるせったクンの「こんなのいけないんだよ!」「こんなの、あと100曲だって作れる。いや、もう作ったかもしれない!」のセリフ回しもすごく好きでした。
この直後の「お父さんが僕にレッスンしちゃいけないって...」のあたりと比べると、喋るスピードがちょっと速いんですよね、ここ。
こういうところの微調整、横原くんすごくうまいんだよなあ。
★つまらない音楽に付き合う人生
トオルがせったクンを北島先生のもとへ連れていくシーン。
楽譜を取り出して「大学での作曲というのは、具体的にどのようなお勉強をされるのですか?」と言うせったクン、新鮮でした。初対面の目上の人にもちゃんと臆せず話せる。それだけで、大人になったんだな〜ということを改めて実感させられましたね。かしわばのおばあさんにあんなにビビってたのに。
あと、北島先生の歌の裏で楽譜を手直ししてるせったクンがとても微笑ましかったです。夢中で譜面を追いかけているところも、鉛筆の持ち方がグーになってるところも良かった。基本的にはほぼ表情は動かさずに手直ししてるけど、時々、あ!ってひらめいた感じの表情をしたり、曲が盛り上がるところですぅっと息を吸って、のめり込むように力を込めていたりしたのも好きでした。
★音のチカラ
ここは、エグランティーナに入店してからせったクンの音楽の変化に気づくまでの一連のトオルの動きが丁寧で大好きでした。
せったクンが「うれしい合格」を直したと言って弾き始めたところで、お酒をくいっと飲んで、堂本さんと少し話す。その途中でせったクンが弾いている曲が以前とは全然違うことに気づいて、『音のチカラ』を歌う。
椿くん、あまりにこの流れがうますぎました。まさに「感情(喜怒哀楽)がピークになった時に歌がくる」ですね。
★オペラを作ろう
みんな大好き『オペラを作ろう』。
ただただせったクンが可愛いし、曲自体の中毒性がすごいので、1回聴くとしばらく曲が脳内を駆け回るようになって辛いです。4回も聴いてしまったし、大阪公演は脳に直接刻みつけるくらいの気持ちで観ていたので、なんなら、「オペラ」って聞くだけでいつでも脳内再生できるようになってしまいました。
この曲のせったクンは全部可愛いので、ピックアップするのが難しいんですが、しいて言うなら、「オペラがいちばんいいと思うのだ」の口調とお顔がとんでもなく好きでした。バカみたいに可愛い。保護です(2回目)。
作曲家の名前を読み上げるところは「ベートーヴェン」の声楽っぽい声、「プッチーニ」の無邪気な声、ひらがな発音っぽい「ラヴェル」が良かったです。
色々言いましたが、とにかくここは可愛いの大渋滞。中毒性の高い曲で後からいくらでも懐古できるシステムにしてくれてるの、本当にありがたいですね。最高に楽しいシーンでした。
★劇中オペラ『海の怪人セーシュー』
ここは長いので、さらに曲ごとに区切って書きます。◎が曲名です。
◎ああ 稲村ヶ崎
上手端でせったクンが指揮、その他の場所を使ってオペラを上演。登場人物紹介も兼ねて、トオル扮するサダオとコウミ扮するヨシコが同じメロディで歌います。
10/29昼公演の時はあんまり思わなかったので、もしかしたら途中から動きが変わったのかもしれないんですが、11/5昼のせったクン、私情がすごかったですね(笑) なんなら大阪はもっとすごかった(笑)
サダオもヨシコもせったクンのすぐ近くで歌うんですけど、ヨシコのパートの時のせったクン、舞台に吸い寄せられるように歩いていっちゃって、あせあせしながら戻ってきてまた指揮してましたね。これは確実に練習中に愛を育んだね…バレバレだよ…
◎義貞の十戒
全体的にチェンバロっぽい音が響いている曲なイメージ。サダオがヨシコに新田義貞の伝説の話を伝えるシーンですが、トオルのダンスがあまりにエモすぎてずっと鳥肌立ちっぱなしでした。
特に、「ああ神よ願わくば〜」で手を合わせて膝をつく振りと、「真一文字に〜」で手を水平に保ちながらもう片方の手でまっすぐに狙いを定めるような振りが上手すぎましたね。言葉じゃ上手く伝わらないのが悔しい…
椿くんのコンテンポラリーダンス、もっとたくさん観たいなあと思いました。椿くんのスキルの高さ、ほんとどうなってんの…
◎儚い記憶
この曲は、とにかくせったクンの指揮が美しかった記憶。
正直、ここは最初の方、「ま〜たせったクン、ニヤニヤしてるんでしょ?コウミちゃん大好きだもんね?」って思ってたんですよ、私(とても失礼)。でも、双眼鏡で観てみたら、全然そんなんじゃありませんでした。
暖色のピンスポを浴びながら、2拍3連を指揮で刻むせったクンの美しさたるや…
全く笑わず、曲にのめるかのように真っ直ぐな目線で指揮をするせったクンが刻む3拍子、本当に美しかったです。指揮を見てここまで美しいって感じたの、たぶんこれが初めてだし、なんならもう二度とないかもしれない…そんな風にも思えました。
せったクンもとい横原くんの指揮って、音感いい人のリズムの取り方な感じがして好きなんですよね…
音楽的な善し悪しはよく分からないけど、どのテンポにおいても、1拍目を丁寧に置いてから2拍目、3拍目をなめらかに繋いでいくのがツボでした。
あと、拍子やテンポが変わる時の指揮も良かったです。転換点を作らずぬるぬる変わっていくのがお見事。特に、ゆっくりなテンポから速いテンポに移行する時の指揮は一生拗らせそうな気しかしてないです。好き〜〜!!
◎おつり事件 パート2
原田さん扮するパワフルおばあちゃん再登場。
飲み物は口付けてからお客さんに渡すし、おつりは全部50円玉だし、トオルの申告によると不足額も多いらしいので、かしわばのおばあさんより明らかに悪質度が高い(笑)
このシーンで『もう一度会えるから』の歌の通り、かしわばのおばあさんにもう一度会えてしまっているのがちょっと面白かったです。
絶対にそういうことじゃないんだけど、笑っちゃうよね、これは。
でも、オペラのなかに、かしわばのおばあさんを入れよう!ってトオルとせったクンが話してたんだとしたら可愛いですよね。『おつり事件』も、2人にとって大切な思い出であるはずなので。
◎出でよ!セーシュー・ドン・ジョバンニ~この太刀をお取りなさい~セーシューよ海へ帰れ
マスター扮するセーシューが出てくるところ、雷みたいな演出になってたと思うんですけど、そのあたりからキョロキョロしたり、指揮の合間に頑張れ〜ってしながら舞台を見守るようになったりするせったクンが可愛かったです。
舞台に魅入ったあと、楽譜をめくって指揮に戻るところは、慌ててめくるんじゃなく、楽譜をサラーっと読みながらページを繰る感じが良かった。ここは「せったクン」から「指揮者・雪駄文彦」のスイッチングでもあると思うので、一瞬の切り替えじゃなく、徐々に後者の出力を上げるようになめらかに変えてくれたことで、せからしさを感じずに楽しめたなと思います。
ピアノは、口ずさみながら弾いてるのが良かったです。トオルの書いた詞を噛み締めるように嬉しそうな顔で演奏するせったクン、ほっこりしました。
オペラ本編の方については、とにかくトオルの殺陣とアクションが上手すぎました。海の家での上演なんて勿体なさすぎる!もっとちゃんとお金取った方がいいよ!って言いたくなるレベル。
初めにセーシューと対峙するところは、刀を持ってないので拳で勝負なんですけど、少年漫画のパワー系主人公みたいで、かっこよかったです。刀を手に入れてからは、殺陣の基礎がしっかりできている椿くんがベースにあるので、冷たい視線で刀を振るうのがあまりに様になりすぎていて、ちょっとドキドキしましたね。あれは全人類恋する。
椿くんって重心移動の仕方がすごく上手いのかな。個人的に、舞台でとても映える動き方だなと思いながら観ていました。
あと、ここは観るたびセーシューが自由になっていくのが面白かった。東京から大阪でけっこう捌け方変わったよね。
元も子もない言い方しちゃうと、サダオは新田義貞、ヨシコはその妻の生まれ変わりで、今世でも結ばれちゃったね♡っていうオチなんですよ、これ。それを「それじゃあ僕は、新田義貞…?」「私は貴方の…?」っていうセリフでもって表現してるんですけど、大阪のセーシューはなかなか捌けずにそれを見守ってました、なぜか(笑)
サダオとヨシコのセリフに合わせて、「そうです、そうです」みたいに頷いて、しかも最後に「さらばじゃあ!」みたいな決めゼリフで捌けていく。
これ全部、東京はなかったと思うんだけどなあ(笑)マスターがどんどん可愛くなってるの、本当に楽しかったです。
★世界でいちばん美しい
せったクンがコウミと結ばれるまでのシーン。
甘酸っぱいような、苦しいようなで、恋というよりはロマンスという表現の方がしっくり来る気がしますね、このあたりは。
まず、せったクンがトオルにコウミが好きだということを打ち明け、「今日も暑いですね」「そうですね」ってコウミとの会話を再現するところ。トオルに恥ずかしそうに話すせったクンの声、少し甘めのトーンで良かったです(11/5昼は特にその要素が強かった気がする)。
なんか、トオルが言っていた「聴いてるのは耳なのに鼻をつまみたくなる甘さだよ!」ってこういう感じだったのかなと思ったり(このセリフ、すごく早口でまくし立ててたよねトオル…この言い方とても好きでした…)。曲ではなくセリフでこちら側が追体験しているような、そんな感覚が少しありました。
そして、せったクンがコウミを連れ出すところで流れる「シラノ・ド・ベルジュラック」。ここで流れるのが今までいちばん壮大で、ゆっくりで。すうっと夜に溶け込むような曲調になっていたのが印象的でした。
この壮大な曲調が「これじゃあまるで、シラノ・ド・ベルジュラックだな」というマスターの言葉から続いているのもすごく良かった。
このあとの、「僕達はそういう運命なんですよ」っていうトオルのセリフももすごく良い。私はこれでようやく解釈を1つに絞ることができたので、グッジョブ!と思いました。このひと言、本当にありがたかった…!
「シラノ・ド・ベルジュラック」の解釈は、こうめいさんが濁してツイートされていた通り、「トオルもコウミが好きだったけど、せったクンとコウミが両想いだと知ってキューピッドとなることを選んだ」という解釈でいいはず。
解釈が分かれるのは、どちらかと言うと、先述の沢口さんについてかなと思います。
もしもあの時、せったクンも沢口さんのことが好きだったのだとしたら、トオルに「沢口さんのこと好きだったじゃんか」と言ったせったクンはシラノで、コウミと結ばれるせったクンはクリスチャンということになる。
劇中で描かれていないから本当のところは分からないですが、音楽の才に恵まれたせったクンがどちらの立場も経験しているというのも、ドラマティックでいいなと思っていたりします、私は。
そして、このブロックの最後として、せったクンとコウミが結ばれるシーンについても言及しておきますね。ここは私も含め、キスシーンだなんだって散々オタクがざわついた部分でもありますが(笑)、私はこれ以上ないほど解釈一致だなと思っていました。セリフも含めて。
ミュージカル化が決まってから原作を読んだんですけど、さすがに舞台だし、2時間弱だし、原作のような展開ではないだろうなとは思ってたんですよ、もともと。でも、ここはトオルと沢口さんの初恋と対比の関係であって欲しかったから、子どもの恋と大人の恋愛という感じで、できるだけ区別して描いてくれたらいいなと思っていました。
そう思っていたところにあのやり取り。情欲を伴う恋愛のさまが美しく描かれていて、こういう区別の仕方いいな〜!って思いました。
そもそもが自担のラブシーンもっとやれ派の人間だから、こういうこと言えるのかもしれないけどね。
いやあでも、ほんとにせったクンとコウミのやりとりは甘酸っぱくて、切なくて、しっかり引き込まれてしまいました。
このシーンが甘酸っぱく、切なくなればなるほど、せったクンの人間的な美しさが際立つと思っているので、まさに解釈一致。
幕間があるとすれば区切りはここだったのかな?と勝手に思っているんですけど、もしそうだとするならば、すごく素敵な余韻の残り方だなと思います。今でもこのシーン、私は大好きです。
★作品第一番 音楽の旅人
コウミがせったクンの家に出入りしていることがせったクンのお父さんにバレてしまい、せったクンの楽譜が全て燃やされてしまう。
それに対し、「僕はお父さんを騙してました。だから、楽譜が燃えてしまったのは良かったです」というせったクンって本当にピュアなんだなあと再認識しました。
その前の「僕も永沢さんも大丈夫です」はコウミと自分に言い聞かせるような感じもあったのかな。
そして、この時点で一度まっさらになったせったクンが作ったのが『音楽の旅人』という事実が、とてもしんどかったです。
この曲がレクイエムのベースとなっていることを考えると、「作品第一番」というタイトルがすごく憎く思えてしまいますね。まさか「生まれ変わって最初に作った曲」が「レクイエム」になっちゃうなんて、この時誰が想像できたことか。
歌の面では、「それが僕の願いだ」のせったクンの声が、横原くんからは聴いたことのない声でびっくりしました。
横原くんって実は、普段あんまり裏声使わないよね?日頃の高いキーはミックスボイスみたいな感じなのかな。「それが」と「願いだ」の分かりやすい裏声を聴いてそんなことを考えたりしていました。
あと、大阪は会場が響きやすい環境だった(ように聞こえたんだけど実際はどうかよくわからないです)からか、声量が東京以上にすごかった。歌い方もちょっと変わってたかな?なんか、よりクラシック寄りの歌い方になっていたように思います。
★ジェラシー/終末のタンゴ
せったクンがタンゴに触れ始めると同時に、津々見がエグランティーナを訪れるようになるシーン。
津々見の登場により少しずつ歯車が狂っていく様子が、タンゴの短調に乗せられているのが良かったです。
せったクンとの連弾でコウミがリズムを取れず、チューナーを買いに行くところは、「桜木町まで買いに行っちまったよ!バカ!」「バカって言わないの!」のマスターとコウミのやりとりが毎回かわいくて好きでした。
帰ってきたあと、家で学生時代に使ってたをチューナー少しいじって思ったことなんですけど、チューナーのチューニングの音ってC(ツェー)から上がっていく仕様になってるよね?
せったクンがチューナーの音鳴らしちゃって焦るところがA(アー)になってたのってもしかして、「わー!」とか「あー!」とか言うみんなの声と微妙にかけたりしてたのかな…? 考えすぎか(笑)
せったクンと津々見が初めて接触するところは、なんか妙な緊張感がありましたね。スコッチのソーダ割を頼んでから「グレンフィディック」と銘柄指定する津々見、ものっすごくイヤな奴だったし。
「グレン…?」って聞き返すせったクンの消え入りそうな声、かわいかったな。グレンフィディックかどうかは分からないけど、態度の悪い客にもちゃんとお酒作っててえらいよ、せったクン。
津々見にお酒を出してすぐ、せったクンが「ピアノ弾いてもいいですか?」って聞いたのは、津々見からトゲトゲした何かを感じたからなのかな。柔らかな口調のなかに、早くこの場から離れたいみたいなそわそわ感があったようにも感じられました。
津々見ってよくよく考えたら、たった3回しかエグランティーナに来てないんですよね。3回目は来るなり全てをぶち壊すから、本当にお客さんだったのは実質2回か。
そんな津々見の2回目の来店シーンでは、多くの人を恋に落とした「俺が何とかしてやろうか?」なトオルがいましたね。コウミの「大丈夫、私は相手にしてないから」の後の「でも、あの目つきはいい感じがしないな」も相当にリアコなトーンで大好きでした。
トオル、あまりにいい男に育ちすぎでしょ…
そして、特筆すべきは、運命の津々見3回目の来店シーン。
タンゴを完成させたせったクンの発表会のシーンでもあります。
ここは1番原作と大きく変わっていたシーンだったので、正直、1回目の観劇ではとても戸惑いました。
でも、2回目以降の観劇では全然違和感なかったです。むしろ、原作よりも津々見へのフォーカスが少なく、その分トオルとせったクンのエピソードを多く盛り込んできたこれまでの流れを考えると、こっちの方がかえってすっきりして見えるなと思ったり。
冒頭の、津々見が歌う『追憶の16 beat』の部分でも触れましたが、そもそもエグランティーナの面々からすれば、津々見がどんな感情で凶行に走ったのであれ、「突然全てを壊された」という認識は変わらないんですよね。そう思うと、この改変は大いに納得でした。
曲自体は、津々見の『ジェラシー』とせったクンの『終末のタンゴ』が応酬する形式。
声も歌詞もナイフみたいに尖った津々見と、その場に不似合いなくらい優しく諭すように歌うせったクン。全然違う歌がしっかりと混ざり合ってひとつのシーンが作られていて、思わず息をするのを忘れるくらい魅入ってしまいました。
『終末のタンゴ』は歌詞だけ見ればほぼ『音楽の旅人』そのまま。でも、そこにタンゴ調のアレンジと「僕を殺すことは誰にもできないよ」の歌詞が加わって、よりせったクンの言葉が力強く、真っ直ぐ響くようになる。それがとても苦しかったです。
ここの歌い方、本当に良かったなあ。
「僕は音楽の旅人だ」のところで、「おん」で音が跳ねる→「がくの」で少しデクレッシェンド→「旅人だ」でクレッシェンドっていう流れを踏むのが好きだった。あと、「僕を殺すことは誰にもできないよ」の「でーきーないよ〜」の音の切り。
このあたりはたぶん横原くんの得意なキーだと思うので、存分に中の人の良さが出てたと思います。
津々見の敵意や殺意を真っ向から受け止めながらあの曲を歌い、恋人に「大丈夫」と語りかけるせったクンがどんな顔をしていたのか、それを知っているのはたぶんコウミだけ。私たちにはこの時の表情は見せてくれませんでした。
でも、だからこそ私たちは、せったクンの全然大丈夫じゃない「大丈夫」を、より現実味を帯びた形で受け取ることができたんじゃないかなと思います。
この時のせったクンの表情、知りたいとは思うけど、知らないままでいたいような気もするんですよね。
そして、せったクンがピアノへ向かい、最期を迎えるところ。
「いい曲が書けそうな気がするんだ」
「16分音符が舞い上がっていく感じだ!」
「今のは綺麗だったねえ〜!」
「みんなにもすぐに見せてあげるからね」
セリフはだいぶニュアンスですが、そう言いながら、ピアノを目指して歩を進めるせったクンの目がずっとキラキラしていたのが印象的です。
ここのせったクン、ゆっくりながらも絶対に喋ることをやめないし、『音楽の旅人』の歌詞(どこからともなくメロディーが舞い降りて僕を包み込む)と正反対の"16分音符が舞い上がる"景色を見ているんですよね。
劇中で『追憶の16 beat』をせったクンは歌わないので、16分音符はある意味「生」の象徴。そして、それが離れていきそうなのをどうにか繋ぎ止めたくて、あの時の彼は、見ている景色を詳細に言葉にし、ピアノを弾こうとしていたのかなと思いました。
実はここ、東京では1回も双眼鏡を通して表情を見ようとしたことはなかったんです、私。フィクションなのは分かってるけど、やっぱり辛くて。
でも、大阪では意を決して双眼鏡を覗き込むことにしました。
そうしたら、あんなに明るい声をしてるのに、今にも泣きそうな表情をしたせったクンがそこにいて、バカみたいに泣いてしまいました。
もっと早くこの演技、目に焼き付けておきたかった。そう思いながらも、綺麗にパズルがはまったみたいな、すごく満たされた気持ちになったことを覚えています。
そして、このシーンの最後に来るのが、津々見の不気味な笑い声とサイレンの音が混ざり合う、聴いているだけで情緒がイカれそうな演出。
せったクンの最期と津々見の狂人としての始まりが同時やってくるという形で、最後までこの2人の応酬が続いているというのが妙にリアルで、「16分音符が鳴り止まない」という感覚ってこういう感じなのかなとも思いました。
★レクイエム 世界でいちばん美しい
せったクンのお葬式のシーン。
せったクンの命日(1/31)はシューベルトの誕生日であったこと、せったクンのイニシャルがF.Sでフランツ・シューベルトと同じであること、シューベルトの「シュー」は「靴職人」、せったクンのせったは「雪駄」であり履物という共通点があること。
これらのことから、作中のせったクンのモデルがシューベルトであったことが明らかになりました。
調べてみたら、これ以外にも、せったクンとシューベルトにはたくさんの共通点があって、せったクンがピアノの才能を発揮し始めた小学2年生(7歳か8歳)、亡くなった30~31歳という歳に、シューベルトもまた同じ運命をたどっていたようです。
「せったクンは天才音楽家だった」
そういう色々を全部知っていながら、トオルはこの言葉を発したのかもしれないと思うと、とても苦しいですよね。
そんなこととはつゆ知らず。
「へえ~そうなの?僕は、僕が美しいと思う音楽を作り続けるだけさ。」
そう言って光を浴びながら歩いてくるせったクンの声、儚く澄んでいて大好きでした。
ここで歌う『音楽の旅人』、本当にずるかったよね。
あんなにキラキラした声で、「僕を殺すことは誰にもできないよ」なんてトオルだけを見つめて歌われたら泣かないわけないじゃん。
ここだけ生前に歌ったものとは違う、受け渡すような音運びになっているのもずるかったです。「僕を殺すことは 誰にもできないよ」のところ。
しかも、せったクンがそうやってトオルに渡したバトンを、トオルは『2人の夢』で受けるんですよね。
「そして僕らは演奏会を開く ピアノとチェロを2人で それが僕たち2人の夢」
もう二度と叶わない願いを、ぐっしゃぐしゃに泣きながら歌うトオルを見て、心の底から彼の幸せを願わずにはいられませんでした。
ここのトオルとせったクンの関係性、すごく良かったなあ。
トオルにはせったクンの姿も見えるし声も聞こえているけど、触れることはできない。
だから、『音楽の旅人』を歌ったせったクンから歌のバトンを受け継ぐ時、触れようとしても触れられなくて、伸ばした手が空を切る。
それだけだと切ないままトオルの一方通行で終わってしまうけど、せったクンがちゃんと動きでそれに応えてくれるのが救いになっていて良かった。
トオルの『2人の夢』の時のせったクン、ゆっくりピアノの周りを回っているんですけど、ピアノを優しい、でもすごく寂しそうな眼差しで見つめてすっと指先で1回なぜるんですよ。
きっとこの時のせったクンは、トオルとピアノを弾いた日々を、音楽を作った日々を思い出していたんでしょうね。
いつかの公演の、カーテンコールの横原くんの挨拶での言葉を思い出すようなその動きに、触れることはできなくても、2人の心はちゃんと繋がっているんだなということを感じることができて、嬉しかったです。
そして、トオルが歌う『追憶の16 beat』。
劇中でこれまで幾度となく歌われてきた曲ですが、トオルが歌うのはこれが最初で最後。今までのどの『追憶の16 beat』よりも優しく、沁み入るような曲になっていて、じんとした温かさがありました。
「僕を殺すことは誰にもできない」というせったクンの言葉を証明するかのように、トオルが「君を殺すことは誰にもできないよ」と歌い上げてくれたのがとても良かったです。
あと、ラストに残るピアノだけのメロディーが『音楽はやめない』の「もっと話をしようよ お酒を飲みながらさ」をなぞらえていたのがほんとにしんどかった…
ピアノ動かしながら2人で輪唱してた時、トオルのメロディー追っかけてたじゃんせったクン…!なんで先にいっちゃうの!!
「小学生の頃の話も全部」の歌詞まで行き着かないのもまた切なかったですね。
『音楽はやめない』のところでは、見つめあって「全部」ってユニゾンするのに、もうそれが叶わないんだなあ。
そんなことを思いながら、毎度新鮮に涙していました。
★カーテンコール
ここはもう横原くんもせったクンではないので(?)、私もオタク丸出しでいきますね。
白のせったクン、めーっちゃ可愛いかった!!
立ち位置に着いてすぐじぃーっと客席を端から見ていく時の優しい顔、たまらんかったですよね。なんでかいつもよりきゅるるーんってして見えた。肌綺麗すぎるしほんとに赤子。
くりんくりんの髪の毛、毎度自分で巻いてるのもかわいいよね…上演中も崩れないほどのパーマ、自力でできるのすごくない?
はい。ちょっと荒ぶりすぎたので、最後はまじめに歌の話でもしましょうかね。
せったクンを解いた横原くんの「会いたいよ〜君に会いた〜いよ〜」はシンプルに「横原くんだ!」ってなる声で、なんかちょっとホームに帰ってきたような安心感がありました。
大阪は特に横原くんみ強かったですね。観るたび違うアレンジが加えられていて、この部分だけ、公演ごとに横原くんの要素が色濃くなっていくのが好きでした。
横原くんの声が大好きなオタクなので、個人的には、このワンフレーズだけでものすごい量の幸せを摂取させてもらったような気がします。ありがとう世界〜!幸せ〜!!
さて、ここまで綴ってきた感想レポもいよいよ終盤です。
椿くんと横原くんを生で観たのも、舞台を観に大阪まで遠征したのも、同担さんと現場終わりに飲んだのも(笑)。全部全部、せかうつが初めてでした。
そんな色々な初めてとともに駆け抜けたあの日々は、私にとって、一生忘れられない宝物です。
こんな素敵な作品に出会ってしまったら、「会いたいよ君に会いたいよ」なんて、10年経ってもまだ言ってそうですよ、私。
なんなら孫の代まで延々語り継ごうとしそうな気さえしてます。(重い)
それでも、いつまでも余韻にばかり浸っているわけにもいかないので、思い出は一度、ここで宝箱にしまうとしましょう。
というわけで、『世界でいちばん美しい~鎌倉物語~』、改めまして全19公演お疲れさまでした。
そして、椿くん、横原くん。ダブル主演ミュージカル本当にお疲れさまでした。
いつかまたあの双子のような2人に、2人を取り巻くみんなに会えることを信じて。
このエントリの締めくくりとさせていただきたいと思います。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!以上!